睡眠不足が認知症のリスクを高める!?

作成日:2020年01月21日

睡眠不足で高まる認知症のリスクイメージ

よく眠ることが将来の自分を助ける

「6時間睡眠を14日間続けた人は、2日徹夜した人と同じレベルまでパフォーマンスが下がる」
米国ペンシルベニア大学で行われた実験で、得られたデータです。

睡眠が不足すると、前頭連合野(前頭葉とほぼ重複)と頭頂連合野(頭頂葉とほぼ重複、感覚の処理や運動を司る)の脳機能が低下します。記憶力・集中力、判断力、洞察力、コミュニケーション力、感情のコントロール力、意思決定能力など知的な能力全般…人間が人間らしくあるための機能の大部分に関与しているため、その機能が低下することは、子供から高齢者にいたるまでさまざまな生活行動に悪影響を及ぼします。

また、情動調整・動機づけ機能が低下することにより、情緒不安定になり、キレやすくなったり涙もろくなったりし、ときには社会的事件を引き起こすリスクもあります。さらに困ったことには、注意維持機能低下に加えて睡眠不足累積によって、覚醒中に強い眠気や居眠りの混入が発生しやすくなり、ヒューマンエラーによる事故リスクが極端に増大する危険性もあります。睡眠問題に起因する事故は、交通事故や医療事故だけではありません。歴史的な大事故(チェルノブイリ原発事故、スペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発、大型タンカー「エクソン号」の座礁、インド化学工場の爆発事故など)も睡眠不足が主な原因の一つと報告されています。

睡眠不足で脳の認知能力が低下すると、あなたが本来持っている力を100%発揮できません。自律神経の働きも鈍り、身体機能も低下します。

①免疫機能への影響
神経免疫の機能、液性免疫の機能が弱まり、生体の防御・維持機能が低下して健康全般に悪影響が生じます。例えば、風邪をひきやすくなる(感染症にかかりやすくなる)、ダニ死骸や花粉などの抗原に対する抗体反応が正常でなくなり、アトピー性皮膚炎や花粉症の発症リスクが増えるなど。

②効率的な身体回復機能への影響
タンパク合成に関与する成長ホルモンの集中的な分泌が阻害され、細胞分裂や損傷した身体細胞の再生を睡眠中に促進できなくなります。その結果、身体的疲労回復が不十分となったり、肌荒れなどのトラブルが生じたり、子供の心身(脳も含む)の成長を阻害したり、という悪影響が生じます。

③生活習慣病のリスクへの影響
不眠などの主睡眠の不調によって、交感神経系が睡眠中に過剰亢進し、循環器系全般に影響することから、高血圧症・心疾患・認知症の要因となります。また、睡眠不足は代謝系や食欲に影響して、肥満にもつながるのです。その結果、肥満を要因とする生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧を経由する虚血性心疾患・脳血管疾患)のリスクも増大します。さらに、睡眠不足は消化器系にも影響し、(女性の)機能的便秘も増大することがわかっています。

自治医科大学が行った研究によると、睡眠時間が6時間以下の人は、7~8時間の人より死亡リスクが2.4倍も高くなるそうです。睡眠不足が蓄積すると死亡リスクもあがるのです。

あらゆるリスクを招く睡眠不足。忙しい毎日を送っていても睡眠の優先順位をあげて、睡眠時間の確保に努めましょう。