熟睡ラボ

ちゃんと寝られてる?本当に怖い“眠りの借金”「睡眠負債」

睡眠不足

あらゆる不調を引き起こす“債務超過”状態

十二月は師走と言われてるように仕事でもプライベートでもなんだか慌ただしいですね。年が変わっても、一月は行く、二月は逃げる、三月は去る、と昔から言うように年末から年度末にかけてはしばらく忙しい時期が続きますが、きちんと睡眠時間を確保できていますか?

睡眠不足が続くと、朝目覚めたときや昼食後に「眠たい」「眠りが足りない」などの自覚があるものです。しかし、慢性的に睡眠不足が続くと、本質的には睡眠時間が足りていないにもかかわらず、本人にはその自覚がない状態になることが多いのです。このように睡眠不足が積み重なってあらゆる不調を引き起こす状態のことを“睡眠負債”といいます。

実は、日本人の成人の多くがこの睡眠負債を抱えた状態の可能性があります。年齢によって異なるものの、成人であれば1日6時間半~7時間半の睡眠時間が必要です。しかし世界各国の中でも、日本はとくに睡眠時間が6時間未満の割合が多く全体の約4割、40代についてはなんと約半数もの人が必要な睡眠時間取れていない、との研究報告もあるそうです。そのため、必要な睡眠時間に到達していないにもかかわらず睡眠不足を感じていない人は、睡眠負債が溜まっている危険性が高いといえるのです。睡眠負債を抱えることは、決して他人ごとではないのです。

睡眠負債を抱えていると、しっかり疲労回復できずに朝を迎えてしまうので、知らず知らずのうちに少しずつ体調が低下して、さまざまな不調や肥満、生活習慣病などのリスクが高まります。なかには判断力や記憶力の低下、単純作業でのミスが増えるなど、仕事に悪影響をおよぼす可能性もあります。

また睡眠不足の状態だと、しっかり睡眠がとれている人に比べてストレスに弱くなる傾向があります。これに関係しているのが、いわゆるストレスホルモンと呼ばれている「コルチゾール」です。コルチゾールは睡眠中に分泌されるホルモンで、睡眠時間の過不足により分泌量が変動します。分泌量が適量だと集中力が高まるなどのプラスの面もありますが、慢性的に多すぎると脳の働きが低下し、反対に睡眠中に分泌される量が少なすぎると日中のストレスの影響が大きくなることが分かっています。つまり、コルチゾールはストレスと身体的・精神的健康を結びつける重要なホルモンといえるのです。

休みの日にゆっくり寝ているから大丈夫!は大丈夫じゃない?

では、休みの日に寝だめをすれば睡眠不足は解消されるのでしょうか?・・・実はあまりお勧めできません。逆に身体のリズムが乱れ、不眠に繋がったり、寝つきが悪くなる可能性もあるのです。身体のリズムに影響しないよう、毎日少しずつ増やしていくことが大切です。まずは「+1時間」を目指しましょう。仕事や家事なので、とても1時間早く就寝なんて…という人は、「30分早寝&30分遅起き」など工夫してみましょう。また、昼休みなどに「15分プチ昼寝」も効果的です。

睡眠負債を解消すれば、免疫力が上がり病気になりにくくなるだけでなく、ストレスに強くなったり、集中力が高まったりと、心身のパフォーマンス向上が期待できます。睡眠と生活の質は大きく関係しています。ちょっとした工夫で睡眠の質を高め、日々の生活を豊かにしていきたいものですね。

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