高すぎる枕に注意?脳卒中の原因にもなる殿様枕症候群とは
近年、高さが高すぎる枕は脳卒中の原因となる特発性椎骨動脈解離を引き起こす可能性があるという研究結果が発表されました。
殿様をはじめとする身分の高い要人を中心に使われていた硬くて高い箱枕(殿様枕)になぞらえて、この一連の症状を殿様枕症候群と名付けられたそうです。
箱枕の歴史
箱枕が使われ始めたのは江戸時代の中期以降で、こちらの枕が普及したのは当時のヘアスタイルに関係があります。
箱枕は台形の木などの土台の上に布帛 (ふはく) で筒形に縫い合わせ、そば殻や茶殻などを入れ、両端をくくって作る括り枕を乗せて使われるものです。
箱枕が使われ始める前は括り枕のみで使われるのが一般的でした。しかし江戸時代中期以降になると、丁髷やセットするのに時間のかかるような凝った髪型をする人が増え、髪型を崩さないようにと首元のみを支える枕として木の土台のみの木枕が誕生。そこから派生して括り枕と木枕を合わせた箱枕の使用が一般化していったようです。
江戸時代はおしゃれをする文化が発展した時代であり、当世風俗通や女用訓蒙図彙といった髪型の流行やおしゃれをする道具、化粧のやり方などの情報がまとめられたファッション誌のようなものが流通していたほどです。
木枕や箱枕は枕という名前こそついていますが、快眠の道具ではなく、おしゃれのための道具であったと言えます。
その後、文明開化期である明治時代には髪型を自由にし、帯刀をしなくても良いとする散髪脱刀令が布告され、生活スタイルが大きく変化していきました。
散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がするという言葉が有名ですが、髷(まげ)を切り落とした髪型である散切り頭という表現は髷文化の衰退を意味していて、このころには男性よりも日本髪を結う女性に箱枕の需要があったと言われています。
殿様枕症候群
殿様枕症候群とは、高い枕を使用した際、首部分が大きく曲がってしまうことが原因で首の後ろの椎骨動脈という血管が裂けてしまう特発性椎骨動脈解離のことです。
以前から椎骨動脈解離が欧米に比べて東アジアで極端に多く、環境や遺伝子ではなく文化的素因に焦点を当てたところ、硬さと高さのある枕を使用している方の発症割合が多いという結果が出ました。
症例群53名と対照群53名を調査した結果、高い枕の使用は症例群が対照群より多く、12cm以上の枕では34%対15%、オッズ比2.89倍、15cm以上の枕では17%対1.9%、オッズ比10.6倍で、高い枕の使用と特発性椎骨動脈解離の発症には関連が見られました。
また、枕が高ければ高いほど、特発性椎骨動脈解離の発症割合が高いことも示唆されました。この関連は枕が硬いほど顕著で、柔らかい枕では緩和されました。オッズ比
国立循環器病研究センターより引用
今回のような症例対照研究でよく用いられる指標で、特発性椎骨動脈解離のように、疾病の発症率が低い場合にはリスク比の近似として用いられます。
枕の高さの重要性についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
高さ表記だけで判断するのは注意
一言で枕の高さと言っても、素材の特徴によって様々です。柔らかい枕ほど沈み込みが大きく、使用している間は表記されている高さよりも低い状態になっています。逆に硬い枕ほど沈み込みが少なく、表記されている高さに近いものを使うことになります。
首回りはとてもデリケートな部位なので、あまりに首部分が高いものは椎骨動脈解離を引き起こしてしまう可能性があるのでおすすめできませんが、首の緩やかなカーブを作るために、自分の首に合った高さの首を押し上げる構造の枕はストレートネックに効果的です。
どの枕が自分に合っているのかわからないという方は、まず柔らかめの枕を試してみましょう。枕選びでは寝返りのうちやすさも大切なポイントです。弊社が取り扱っているBlueBloodシリーズの枕は、ジェルとスーパーソフトウレタンを融合した枕で、柔軟性と復元力を兼ね備えた枕となっています。ストレートネックに対応した枕も取り扱っておりますので、ぜひご検討ください。
自分の体格に合った高さや硬さ、構造であるかを考慮して枕選びを行うようにしましょう。
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